はじめに
2022年に法改正がされ、男性労働者の育休取得促進が義務化されました。
- 企業から従業員への育休制度の説明義務化
- 企業から従業員への育休取得の促進義務化
- 従業員数1000人を越える企業の男性育休取得率の公表義務化
など、男性の育休取得に追い風が吹いています。
育児休業の取得に対して会社側に拒否権はありません。
また、育児休業の取得によるキャリアダウン、人事評価を下げてはいけないとされています。
ただ、実際のところ影響がないとは正直いいきれません。
なぜそんなことを言うかと言うと、過去に勤めていた大手企業に勤めていた際、育休に関わらず様々なあり得ない人事辞令の話を見聞きしてきたからです。
そこで、私が過去に見てきた人事辞令を紹介しつつ、どうすれば円満に育児休業を取得できるかを検討し、お話ししたいと思います。
想定される会社の本音から、円満に育休を取得するコツをご提案
この記事に記載している情報は実際にあった話ですが、全ての企業に当てはまるものではありません。
それぞれの企業に醸成されている社内文化があると思いますので、もっと素晴らしい待遇をされている会社も多数存在していると思います。
ただ後述するような事例がある会社は事実存在しており、最悪ケースを想定して立ち回ることは重要だと思います。
あくまでこういう会社もあるよ!っていうレベルで社内立ち回りの参考にしてもらえれれば、幸いです。
実際にあった人事や事例の紹介
これは誰もが知る大手企業での話
ここでお話する会社は、名前は伏せさせていただきますが、名前を聞けばほぼ100%の人が知っている大手企業でのお話です。
事業所も幅広いエリアに展開されており、人事異動は1〜3年に一度は必ず行われていました。
ここで情報源としては、実際に私が経験した話や、人事権を持つ管理監督者からオフレコで聞いた話などで、その会社内では信頼性の高い情報です。
有給休暇を使い切ると呼び出される
私が実際に使い切ったら呼び出しされました。
また、他の社員の人でも有給休暇を使い切ろうとすると、それだけで人事評価を下げられていました。
会社の中でも与えられる業務レベルを意図的に下げられ、裏で「あいつは仕事ができない奴だ」と陰口を言われていました。
結婚したら地方へ転勤
結婚をしたら次の人事異動で地方へさせられます。
どうやら嫌がらせでそう言う人事をしていたそうです。
独身はキャリアアップが遅れる
同期がほぼ同じようにキャリアアップしていくなか、ランクアップが関わる人事評価の際には、仕事の出来る、出来ないに関わらず独身者のキャリアアップが確実に遅れていました。
社員数が多いだけに、あからさま過ぎてびっくりしてました。
持ち家を購入したら転勤
持ち家を購入すると転勤させられ、半ば強制的に単身赴任をさせられていました。
退職間際の管理職クラスの人でも「単身赴任が当たり前」「長期休みに会える家族との時間が貴重」といったような、家族にほぼ会えない人も少なくなかった。
評価の低い人をわざとキャリアアップさせて転勤
すごく伝わりにくいのですが、箇条書きにすると
- Aさんを自部署に取り入れたい。
- Aさんにオファー。「Bさんがその職場にいるから行きたくない」と拒否
- Bさんを異動させるため、無理やり成果をこじつけて昇格。それに伴いBさんは転勤。
- Aさんを希望どおり、自部署へ人事異動。
と、別の人の人事異動のために、人事評価が捻じ曲げられたケースが実際にありました。
男性育休取得に対する会社の本音
前述のとおり、綺麗事だけで人事は行われていないケースは十分に想定されます。
育休取得時も別の理由づけをしつつも、不当な扱いを行う会社はあるでしょう。
ここからは、育休を取得するにあたっての開始側の本音(最悪ケース)を述べていきたいと思います。
自分の時には育休を取らなくても子育てできた。育休は甘え。
現状マネジメントを行っている世代は、男性の育児休業などが主流では無かった時代の人たちです。
「自分たちがやってきたのだから、後続も同じようにやるべき」と考えるひとはいるでしょう。
社会全体の流れとして、育児休業を取得するのが当たり前 という風潮が生まれない限り、
「育休は甘え」
という人は消えないでしょう
育休取得者より、自分に懐く人・頑張っている人を上に上げたい。
マネージャークラスとはいえ、所詮は人間です。
必ずと言っていいほど、好き嫌いは必ず存在します。
そして、大体のマネージャークラスは
- 会社の業務遂行に役立つ人
- 会社につくしてくれる人
- ノーと言わないイエスマン
- 自分に懐いてくれる人
を評価して、「上の役職につけたい」「自分の近くに置きたい」と心のどこかで思っているはずです。
育休取得をしている人、取得していない人の両方を評価するとなった場合、後者に評価がつけられやすいでしょう。
この問題は、「男性は育児休業をしなければならない」という文化が日本全土に浸透し、育休が比較の対象から外れないと解決には至りません。
事務手続きの負担が増えて面倒。
育児休業の取得には多数の事務手続きがあり、申請者以上に会社側の事務手続き負担が大きいものとなっています。
育児休業を取得するとなると、会社側がやらないといけない事務手続きが増えて、業務負荷が増えることになります。
仕事の穴を埋める手間が増えて面倒。
育児休業をしている間も会社は動き続けるため、抜けた穴を埋めなければなりません。
業務引き継ぎがスムーズにできる職場ならば影響が少なくなりますが、そういう所は少ないでしょう。
休業中の社員は仕事に参加していなくとも、会社や組織には属している状態にあります。
だいたいの組織には人員の枠が決まっており、枠の数を変えるには、社内立案・稟議といった手続きを踏まないといけないところが多いでしょう。
また人員枠を増やすためには、売り上げ増などの合理的な理由が必要となり、枠を確保する人にとってはかなりの負担増となります。
会社全体としての理解があり、基本人員ベース増とするならば問題ないと思われます。
しかし、このベース人員枠を増やすハードルが高くなった結果、現状人員の超過業務により対応を迫られることになるケースが多くなると思われます。
法律による義務化に伴い、取得させた実績は欲しい。
法律による取得率報告の義務化により、育休取得を推奨しなければならなくなりました。
そのため建前であったとしても、「育休取らせているよ!」と管理監督者はアピールしたいわけです。
育休は取ってね!ただし、早く復帰してね!
というのが会社側としての本音でしょう。
円満に取得するコツを考える
周囲の育休取得状況を事前に把握しておく
「どれくらいの割合の人が」「どれくらいの期間で」育児休業を取得しているのか、事前に情報収集しておくと良いかもしれません。
例えば、
- 全く育児休業が取得されていない職場
- 約半数が育児休業を取得している職場
- 対象者ほぼ全員が育児休業を取得している職場
それぞれで、1ヶ月休業を取得することを仮定した場合。同じ1ヶ月でも周りからの感触や目線が違ってくることが想像できます。
実績が多ければ多いほど、取得申請は言いやすいですし、少ないほどハードルは高くなると考えられます。
(注釈) いずれの職場においても、育児休業が申告された場合、会社は認めなければなりません。あくまで、職場の雰囲気としての言いやすさの話です。
自分のキャリア状況を客観的な目線で分析しておく
言い方は悪いかもしれませんが
- 仕事ができる人からの申告
- 仕事ができない人からの申告
どちらの方が上司としては受け入れやすいでしょうか?
自分が上司だったら、前者だと思います。普段頑張っている部下の希望だったら叶えてあげたいっていうのが心情です。上司だって人間ですから。
全く同じキャリアの人が並んだ時に、どちらを上に上げるのか?という話になった時、育児休業を取得していなかった人が出世するケースも正直否定できません。
今後、自分がどのランクまで上がる余地がありそうか?どこまでランクアップしたいか?ということも視野に入れた方がいいと思います。
(注釈) 育児休業取得の有無により、キャリアダウンすることは許されないことですが、現実問題としてこういった問題はあると思います。
育児休業の取得について、信頼できる上司に事前に相談しておく
会社をとりまく情勢については、自分よりも上司の方が詳しいことが多いです。
周りに信頼できる上司いない場合は使えない方法ですが…
日常的なレベルの話を相談できる上司に、育児休業取得に関して早い段階で相談をしておきましょう。
本当に信頼できる人であれば、真摯に相談にのってくれるはずです。
ただし、表面的にはすごくいい人だけど、裏がある人は気をつけた方が良いです。
そういう人はだいたいどこにでもいます。
日頃から業務の棚卸し、共有化を計っておく
育児休業取得後も業務引き継ぎがスムーズに行えるよう、業務の棚卸しと状況整理を日頃からしておきましょう。
- 自分じゃないと出来ない仕事がある
- 周りの人には任せることができない
というのは、仕事の仕方としてあまり良くないです。
自分に何かあった時に、すぐに周りの人が仕事を引き継げるように、日常的に取り組んでおきましょう。
これは育児休業関係なくやっておいた方がいいです。
最悪ケースとして、転職することも視野に入れて行動
育児休業が取りづらい職場は、素晴らしい職場とはお世辞にも言いにくいです。
これは1つの作戦にはなりますが、育児休業で会社と見えないトラブルが起こるようならば、転職も視野に入れていいと思います。
そんな職場であれば、社内での今後のキャリアアップは望みが薄いですからね。
さらに育児休業中は、時間をある程度は自由に采配できるので転職活動もしやすいです。
まとめ
男性の育児休業はまだまだ浸透しておらず、周りからの理解を得ることが難しいのが現状だと思います。
今回は、綺麗事ではなく実際に有り得そうな最悪ケースを想定していろいろ記載しました。
ただ、こんな事を気にしなくても良い職場もたくさんあると信じています。
実際、私が今勤務している会社では、このような事はなく、育児休業を取得することができました。
うまく育児休業を取得して実績ができれば、後続の社員たちが取りやすい環境づくりにも繋がります。
皆さ